LED通信事業プロジェクト エンジニアブログ
2023年の閲覧数トップ10
記事更新日 2023年12月19日
はじめに
早いもので、今回のブログが2023年最後のブログとなりました。今回は、今年最後ということで、いつものような技術のネタではなく、この光無線通信のブログではどんな記事が読まれているのか?どんなワードで検索され表示されているのか?そんな内容でお送りいたしたいと思います。
2021年にこのブログを始めて、およそ二年半。お正月、GWなどを除き隔週更新を続けてきて、このブログで61回目となります。今回は、今年一年これまでの60回の中で、どの記事が多く読まれたのか、ランキング形式で紹介します。右側に直近1ヶ月で読まれている記事のリンクがありますので、上位記事はおおよそ予想が付くでしょうから、予想しにくいものが後に来るカウント「アップ」形式でTop10を発表したいと思います。ご紹介する記事の中で、まだ読んだことのない記事があったら、是非読んでみてください。それでは、スタート。
今年閲覧された記事Top10
第一位:フレネルゾーンってなに?
掲載日:2022年9月20日検索用語:フレネルゾーン、フレネル領域、フレネル半径
電波はある程度広がって伝わります。フレネルゾーンとは、通信している2点間の一定の範囲内にものがあると電波が減衰するという、そんな範囲のことをいいます。その上で、この記事は「光は広がらないため、フレネルゾーンがほとんど無くて、狭いところで通信しても減衰しないんですよ」ってことを説明したいがための記事でした。実際、光無線通信の営業をしているとフレネルゾーンについて聞かれることも多く、それに対する回答という意味もありました。
結果としてこの記事は、ほぼ光無線とは関係無く、単にフレネルゾーンを学習したい人が多く閲覧しているみたいです。たしかフレネルゾーンは理系の人が大学で習う内容だと思うんですけど、説明を探しても教科書然とした説明がされている文章が多くて、式をあまり使わず、図を使って原理的なことを説明しているサイトってあまりないんですよね。そんな、フレネルゾーンを「やさしく書いた」ところが功を奏したのか、この記事はアップ以来ずっと閲覧数が多く、今年の閲覧数第一位となりました。
フレネルゾーンって、実際に無線を扱っている人から見れば当たり前の概念だし、極めて自然な考え方なので、教えている先生方から見れば「わかって当然」なのかもしれませんが、実はその原理が分かっていなくて困っている人が多い、ってことだと考えています。
第二位:バックホールって何のこと?(1)
掲載日:2022年7月19日
第三位:バックホールって何のこと?(2)
掲載日:2022年8月2日
検索用語:バックホール、バックホール回線、CPRI
第二位、三位には、「バックホールって何のこと?」シリーズが選ばれました。この記事は、LEDバックホールという製品を宣伝している割には、そもそもバックホールそのものについての記事を書いたことがなかったなと思い立ち、前後編の長編記事として書き上げたものです。この記事も掲載当初から評判が良く、アクセス数が多かったです。(1)の前編は、携帯電話基地局のバックホールがATMからIP化していく過程を、(2)の後編はC-RANやO-RANが使われるようになり、フロントホールという概念ができた経緯を書いています。これら記事は、技術的話だけでなく経緯、歴史も交えた内容となっています。
実は、今でも納得できないのが、Googleで「CPRI」を検索するとこの(2)の記事が上位に来ること。「CPRI」とは携帯電話基地局のコンピューター部と無線送受信機部を繋げる回線で使われるプロトコルのことです。この記事ではCPRIを使っているC-RANやO-RANを説明するために、記事中ちょっとCPRIを説明した程度なんですが、なぜかCRPIで検索するとこの記事が上位に来るんです。確かにCPRIを説明している記事って全般的に少ないですし、それはCPRIの成り立ちから習った人が少ないからだとは思うのですが、それにしてもどうなんでしょうね? だって、CPRIを調べたら、全く関係無い光無線通信のブログが上に来るって・・・ 検索した人怒るでしょ? 携帯電話の専門家の方々はちゃんとしてください、って感じです。
第四位:特別企画:なんで5Gは世界を変えないの?(前編)
掲載日:2023年1月17日
第五位:特別企画:なんで5Gは世界を変えないの?(後編)
掲載日:2023年1月31日
検索用語:なんちゃって5G、5G 普及しない理由 2023、5Gが普及しない理由
第四位、第五位には、今年の年初の記事で、特別企画と称した記事である「なんで5Gは世界を変えないの?前後編」が選ばれました。特別企画と銘打ったのは、ほとんど光無線通信と関係無いことを、無理矢理関係があるようにして書いたからですが、この記事の内容としては、なぜ5Gが予定通りに普及しないのか、前編は物理的なインフラの面、後編はコンテンツの面から説明しているものです。いや、説明と言うよりも自説を披露しているって感じでしょうか? 記事内容の善し悪しはともかく、平均エンゲージメント時間(つまりページが開かれ読まれた時間の平均)が他の記事と比べぶっちぎりで長いですし、この記事についての問い合わせも多かったりするので、内容に賛同してくれる人がいて、刺さる人には刺さっている記事だと言えるでしょう。
第六位:Li-Fiについて(3) 本当の使い道は?
掲載日:2021年8月31日
検索用語:Li-Fi 製品、LiFi、Li-Fi
比較的初期の記事であるこの記事が第六位です。5本あるLiFiシリーズ記事の三番目の記事です。記事の中では、「現状では、LiFiがWi-Fiや5Gなどの電波無線のシステムに勝つことは難しい」と書いています。記事を掲載してから2年以上経ちましたが状況は全く変わっておらず、記事中で言っていたことは間違っていないですので、今でも読まれているのかなと思います。LiFi系の記事はこの後も出てくるんですが、この記事は「本当の使い道」なんて、ちょっと大げさなタイトルが付いているためか、LiFiシリーズの中で一番読まれている記事となっています。
第七位:光無線通信と5G URLLC
掲載日:2022年12月13日
検索用語:URLLC
この記事は、第四、五位で紹介した記事「なんで5Gは世界を変えないの?」の前身とも言える記事で、5Gが広まっていないことを嘆く記事です。URLLCは超高信頼、低遅延通信のことで、思い返せば確か5Gがサービス始まる前の5Gの”売り”ってURLLCだったはずなんですよね。この記事を書いたのはちょうど今から一年前でしたので、5Gが始まって2年程度、まだまだ黎明期とも言える時期でした。しかし、そんな時期にもかかわらず、すでにURLLCは「そういえばURLLCってあったな・・・」レベルまで忘れられていました。光無線通信もURLLCと同じく低遅延を売りにしていることもあり、我々も参考のため(=ネタをパクるため)に、最新のURLLC事情ってどうなっているのかな?低遅延を利用した面白いサービスが展開されたのかな?と検索してみたんです。そうしたら、まともな情報は全くありませんでした。あるのは、5G開始前2010年代後半に書かれた5Gの「夢の話」ばかり。おいおい、どうなっているんだよ!仕方ない、みんながURLLCを忘れているならば自分で記事を作るしかない、自分で書けば誰かが寄ってきてくれるだろう、そんな思いでこの記事を書きました。
さて、一年経ってどうなったのかと言えば、相変わらず検索しても何の情報もありません。ウソだと思うならURLLCで検索してみてください。古い記事ばかりで悲しくなりますから。それどころか、むしろこの記事が上位に来てしまっている!いやいや、これは光無線通信の記事ですよ?それが上位に来てどうするの?って感じです。しかも、こんな検索上位なのにアクセス数は思ったほどでは無い。そう考えると、URLLCを盛り上げるために書いた記事が、皮肉にもURLLCがもはや「死語」になってしまったことを痛感させられる記事となったのでした。
第八位:Li-Fiについて(2) 見通し外通信はできるか?
掲載日:2021年8月17日
検索用語:Li-Fi 製品、LiFi、LOS NLOS
この記事も第六位にランキングされていた「LiFiについてシリーズ」の一つです。LiFiというか、光無線通信全般として見通し外通信は難しいという話です。見通し外通信が難しいということは、お互いが見えるところでしか通信できないわけで、これが光無線通信と電波の通信との最大の違いであり、光無線通信の最大の弱点とも言えます。
ところで、見通し外通信は英語で言うとNon Line Of SiteでNLOSと略される事が多いのですが、何故かNLOSという用語で検索した人がこの記事にたどり着いているようです。NLOSで検索した人の99%以上は電波のNLOSについて調べたかったのでしょうから、何か大変申し訳ない気分です。
第九位:ネジの緩み対策
掲載日 2022年4月5日
検索用語:ダブルナット スプリングワッシャー
これまでは一応光無線「通信」ブログということで、通信関連記事が上位に来ておりましたが、この記事だけ通信とは直接関係ない「ネジ」のネタがランキングしております。実は、ネジ関連はここ最近も結構アクセスがありまして、調子に乗って記事も増やしていたりもします。さらに、このネジ関連記事、社内の女性にも受けがいいんですよね。何故だろう?(おそらくは、通信系の記事が専門的すぎるからなのでしょうけど)
尚、この記事は、この記事単体だけでなく、この前の「ネジを締める」と一緒に読んでいただくことで意味が分かるようになっていますので、まだ読んだことのない方は、是非こちらから先にお読みください。それにしても、スプリングワッシャーが緩み止めとしては意味が無かった(いやそれどころか悪影響だった)って、ちょっとびっくりしますよね。バネがあった方が引っ張る力がかかるからボルトが抜けないだろうって、普通思いますもん。これって、「傷口に消毒は逆効果」と似ていると思いませんか? バネで引っ張った方が抜けない、傷口を消毒した方が衛生的で治りやすい、どちらも人間の「感覚的」には正しく見えるんですけど、正しくない。我々も技術者として、そういったエビデンス無き常識にとらわれず、科学的に統計的に正しい選択をしたいものです。
第十位:Li-Fiについて(4) Li-Fiはスマホに搭載されるのか?(前編)
掲載日 2021年9月28日
検索用語:Li-Fi 製品、LiFi、Li-Fi
この記事も、「LiFiについてシリーズ」の一つです。この記事は、LiFiがスマホに搭載される可能性は極めて低い、ということを説明する記事で、前後半に分かれています。そのうち前編のこの記事は十位なのですが、後編も19位で、どちらも比較的アクセス数の多い記事です。この記事が掲載された頃は、まだiPhoneにLiFiが搭載されるのではないか?という煽り記事もチラホラ見受けられたのですが、さすがに最近はさっぱり見かけなくなりました。そのこと自体は光無線通信陣営の人間として喜べないことではありますが、一方でこの記事が正確だったことを証明することでもあり、なにやら複雑です。まあ、手前味噌ではありますが「光無線通信の将来を”忖度なし”で知りたければ、このブログを読むのが確実」ですからね。
2023年掲載の記事でのTop5
この閲覧数年間ベストテンみたいなものは、その仕組み上、昔からあるサイトの方が有利になるのは仕方の無いところ。Youtubeとかもそうですもんね。過去のも最新のも関係無く見られるのが、放送や紙媒体と異なるWebのいいところですからね。ただ、このまま終わっちゃうと今年掲載した記事に日が当たらないということで、今年掲載したもの「だけ」でTop5というのも発表しておきたいと思います。
- 特別企画:なんで5Gは世界を変えないの?(前編)
- 特別企画:なんで5Gは世界を変えないの?(後編)
- ChatGPTに光無線通信の事を聞いてみる!
- LiFiのIEEE802.11bbの承認について
- 日本どうなる? MWC2023レポート
一位と二位は、総合ランキングにも入っていた記事ですので割愛。
三位には流行のLLMであるChatGPTに乗っかった記事が入りました。ちなみに、調子に乗ってChatGPTと筆者の趣味であるF#を絡めた記事も書いてみたのですが、そっちは箸にも棒にもかからない状態。F#最弱、残念。LLMといえば、最近リリースされたGoogleのGeminiが結構頭が良いので、今度はそちらでなんか書いてみようかな?と思っています。
四位の記事は、LiFiの標準規格である802.11bbについて書いた記事で、今も結構伸びています。いつものように忖度なしで書いたものなので、他の「大本営発表」とは一線を画した現実的な記事となっています。でも、今802.11bbで検索するとこの記事が一番上に来ちゃうんですよね。なんか、そうなると業界的にまずい気もしないでもないです。もっと、マイルドに書けば良かったか?
そういった面では、五位も全く忖度なしで、MWC2023における日本の通信業界の悲惨な現状をリポートした記事になっています。おかげで結構反響がありました。マスコミでは「日本も頑張っている」的紹介が多かったためか、日本下げの内容に「ほんとかよ?」と疑われることもあったのですが、現地に行かれた方にはほぼほぼ同意していただけてるんですよね。
ということで、上位5本中4本が「忖度なし」系の記事。どれもエンゲージメント時間も長いので、やはり今の世の中、「正直」が求められているんでしょうね。
まとめ
さて、2023年のまとめということで、2023年記事閲覧数Top10を発表させて頂きました。全般的に言えるのは、光無線通信だけのネタよりも、電波とか通信とかに絡めた方が検索数が上がるってことです。残念ながら、光無線通信を目的とした、光無線通信用語での検索って少ないようです。つまりは、未だ光無線通信の知名度が低いってことですから、来年はもっともっと知名度を上げる必要があります。
そんなわけで、このブログも光無線通信の知名度アップに資するため、頑張らなくてはなりません。先ずは、とにかくアクセス数アップでしょう。ネタ(記事)は結構貯まりました。後はどうアピールしていくか。来年はこれまで以上に色々とやっていきたいと思っています。「時は来た、それだけだ。」です。
来年もどうかよろしくお願いします。良いお年を。
以上