LED通信事業プロジェクト エンジニアブログ

ChatGPTに光無線通信の事を聞いてみる!

記事更新日 2023年2月28日


はじめに

さて、今ちまたで話題のChatGPT。皆さんは使ってみましたか?ChatGPTは、OpenAIというAIの開発を行っているアメリカの研究所が開設した対話型チャットサービスです。OpenAIの設立にはイーロン・マスクが関わっていましたが、近年はマイクロソフトが数十億ドルもの巨額な投資をしていて、今はマイクロソフトが主なパトロンになっているようです。そして、マイクロソフトはChatGPTの元となっているGPTというAIをBing検索やOffice等、様々なサービスに導入すると宣言しています。

さて、このChatGPT、見た目は普通のチャットボット、つまりは自動会話型のプログラムです。賛否両論あるみたいですが、確実に言えるのは今までのAIとは次元が違うということ。私は残念ながらAIの専門ではないのでChatGPTがなぜそれほどのものになったのか詳しいことは知りませんが、簡単に言えば「最新のAIを使い、これまでとは違うレベルの量を学習させたら、これまでと違うレベルのAIになった」ということのようです。大量に学習させるAIモデルをLarge Language ModelでLLMと呼ぶようなのですが、このLLMがどれだけ”やばい”ものかを知っていただくのは、2023年2月の自民党AIプロジェクトチームで使用された2つの資料をご覧頂くのが早いと思います。

東大松尾研究室の資料

慶応SFC安宅教授の資料

AI研究で先行していたはずのGoogleもChatGPTに対抗して急遽BardというAIを発表するなどMS対Googleという構図も見え隠れしますが、兎にも角にもAIがLLMによって一つのブレイクスルーを果たしたことは事実のようです。そして、このブログもその流れに乗ってみようということで、今回はChatGPTを使ってブログを書いてみるという事にチャレンジしてみたいと思います。

ブログタイトルにもあるとおり、光無線通信の事をChatGPTに聞きながら、光無線通信について皆様に知ってもらうという内容になっています。といっても、おそらく読んだ人の殆どは、光無線通信の事など忘れて、ただただChatGPTの凄さに驚くだけだとは思いますが・・・ それでは始めます。

自己紹介から

以降、私がChatGPTに質問した、質問内容(「私」の部分)とGhatGPTからの回答(「GPT」の部分)は「引用文」に入れて表示しています。ChatGPTからの完全コピペで、HTML表示上改行を一部変換した以外、質問内容と回答内容は一字一句変更していませんのでご承知置きを。

まずは、サンプルとしてChatGPTに挨拶と自己紹介をして貰います。

私: あなたを私のブログに紹介しようと考えています。ですから、あなたから簡単な挨拶と自己紹介をお願いします。

GPT: はじめまして、私はChatGPTです。OpenAIによって訓練された大規模な言語モデルで、様々なトピックに関する質問に答えたり、会話をサポートしたりすることができます。私は人工知能技術を利用して、自然な言語処理を行うことができます。ブログで私を紹介いただけると光栄です。どうぞよろしくお願いします。

私: ChatGPTの特徴はなんですか?

GPT: ChatGPTの特徴は、以下のようになります。

  1. 大規模な言語モデル ChatGPTは、数十億単語規模のトレーニングデータを用いて訓練された大規模な言語モデルです。そのため、自然言語処理におけるさまざまなタスクに優れた性能を発揮することができます。

  2. 様々なトピックに対応可能 ChatGPTは、幅広いトピックに関する知識を持ち、それに基づいて質問に回答することができます。また、会話を通じて新しいトピックについて学び、知識を蓄積することもできます。

  3. 自然な会話が可能 ChatGPTは、自然な言語生成に優れており、人間のような流暢な会話を行うことができます。また、前後の文脈を考慮した回答を生成するため、より正確な回答を提供することができます。

  4. 多言語に対応可能 ChatGPTは、多言語に対応することができます。様々な言語のテキストデータを用いて訓練することで、異なる言語の質問にも回答することができます。

  5. 継続的な学習が可能 ChatGPTは、新しいデータを用いて継続的に学習することができます。そのため、より正確な回答を提供することができるようになります。

ChatGPTはこんな感じで、(日本語であっても)とても「自然な」言葉で返信してくれます。今のところ自由に日本語で質問できるLLMはChatGPTぐらいなのでとても貴重です※1。それでは、この能力を使って光無線通信関連の質問をしていきたいと思います。

光無線通信について聞いてみる

それでは光無線通信についての質問を始めます。まずは超基本的な質問からスタート。

私: 光無線通信とはなんですか?

GPT: 光無線通信とは、可視光領域(紫外線から赤外線までの範囲)の電磁波を利用して、情報を送受信する無線通信技術の一種です。

光無線通信は、レーザー光を利用したリンクや、白熱電球などの光源を利用した通信など、様々な方法で実現されます。近年では、LEDを利用した通信(Li-Fi)が注目を集めています。LEDは、電力消費が少なく、長寿命であるという特徴があります。また、周波数帯域が広いため、高速なデータ通信が可能です。

光無線通信は、電波と異なり、空気中での伝播損失が少なく、周波数干渉も起こりにくいため、高速・高精度・高セキュリティな通信が可能です。しかし、光は直線的にしか伝播しないため、信号が遮られると通信が途切れてしまいます。そのため、信号の障害を受けにくい環境下での利用が適しています。

おお、完璧な回答。そのまま営業資料に載せたいほどです。ChatGPTがLi-Fiに触れているので、Li-Fiについても聞いてみましょう。

私: Li-Fiとはなんですか?

GPT: Li-Fi(Light Fidelity)とは、可視光通信技術の一種で、光無線通信の一つです。Li-Fiは、LEDなどの光源を用いて、可視光領域の光を利用して高速なデータ通信を行う技術です。 Li-Fiは、通信に用いるLEDの明滅を高速化することで、1秒間に数百万回の明滅を行い、高速な通信速度を実現することができます。また、光は電波とは異なり、電磁波が周囲に漏れず、セキュリティ面において高い信頼性があることが特徴です。

Li-Fiは、電波を使うWi-Fiに比べて、情報が盗聴されるリスクが低いことや、電波干渉による通信障害が起きないことが利点です。ただし、Li-Fiは光が直線的にしか伝播しないため、信号が遮られると通信が途切れてしまうという欠点があります。

Li-Fiの実用化には、通信に用いるLEDの性能向上や、信号の障害を受けにくい環境整備などが必要ですが、近年では、インターネットに接続されたLED電球を利用して、家庭内での通信や位置情報の取得など、様々な応用が試みられています。

実用化という面でChatGPTは実用化されていないと判断していますが、こちらとしては一応Li-Fiの機器を売っているんですけどね・・・ それはともかく、それ以外の面ではおおよそ合っていますね。特にLi-Fiで位置情報取得なんて、我々ですらやっているのは知っていても殆ど実態を知らないようなことをどこで知ったのでしょう?

私: Li-Fiは主にどのようなところで用いられますか?

GPT: Li-Fiは、電波を使うWi-Fiに比べ、セキュリティが高く、通信速度が速いことから、以下のような用途で利用されることが期待されています。

屋内ネットワーク Li-Fiは、家庭やオフィスなどの屋内環境において、高速なデータ通信が可能なため、Wi-Fiの代替技術として注目されています。例えば、LED電球を通信機器にすることで、家庭内の照明や照明器具を利用した通信が可能になります。

病院などの敏感な環境 Li-Fiは、電波を発生させないため、医療機関や飛行機内など、電波干渉を避けなければならない場所での利用が期待されています。例えば、手術室内での医療機器の制御や、航空機内でのインフラ整備などが挙げられます。

防災用通信 Li-Fiは、災害時において、電波が届かなくなる場所でも通信が可能であるため、防災用通信にも利用されることが期待されています。例えば、地下鉄や地下街など、電波が届かない場所での通信に利用されることが考えられます。

位置情報の取得 Li-Fiは、位置情報を精度よく取得することができるため、店舗やイベント会場などでの利用が期待されています。例えば、店舗内での商品の位置情報の取得や、会場内での人の移動パターンの把握などが挙げられます。

ただし、Li-Fiは直線的にしか伝播しないため、信号が遮られると通信が途切れてしまいます。そのため、利用する環境によっては制限があることに留意する必要があります。

す、すごい!我々一応光無線通信の専門家ですけど、その我々でも台本無しではこんなにもれなく説明できません。例えば、飛行機は我々のパートナーでもあるOLEDCOMMが実際にエールフランスへ導入して試験していますが、毎回説明するかと言えば・・・ もちろん、若干現実には即さない部分(病院とか)がありますけど。しかし、何でも知っていますね。

それでは、Li-Fiから離れて次の質問を。

私: Li-Fi以外の光無線通信はなにがありますか?

GPT: Li-Fi以外にも、いくつかの光無線通信技術があります。以下に代表的なものをいくつか挙げてみます。

IrDA(Infrared Data Association) IrDAは、赤外線を利用した通信技術で、主にスマートフォンやPDAなどの近距離通信に利用されます。通信速度は比較的低いものの、セキュリティ面に優れており、電波干渉が起こらないため、医療機器や航空機内などの敏感な環境で利用されることがあります。

FSO(Free Space Optics) FSOは、レーザー光を利用した通信技術で、地上と衛星間の通信や、ビルとビル間の高速通信などに利用されます。通信速度が非常に高く、データセキュリティが高いことが特徴です。しかし、天候や霧、露などの自然現象によって通信が妨げられることがあるため、利用には注意が必要です。

VLC(Visible Light Communication) VLCは、Li-Fiと同様に、可視光通信技術の一種です。Li-FiがLEDなどの光源を使った通信技術に対し、VLCは、テレビや照明器具などの既存の光源を利用した通信技術です。通信速度は比較的低めですが、セキュリティが高く、通信障害が少ないことが特徴です。

これらの光無線通信技術は、それぞれ特徴が異なるため、利用目的や環境によって最適な技術を選ぶ必要があります。

ふむ。まあ、おおよそ合っていますが誤解があるといけないので少々解説します。

IrDAは昔のパソコンやガラケーと言われる機種に搭載されていたものです。スマホと言われる時代になってからは、iPhoneが搭載しなかったこともあり、その後に搭載した機種はありませんでした※2。その後は、というか同時期にPCにも搭載されなくなり、2023年においてはほぼ絶滅した規格といえます。

FSOは高出力レーザーを使って長距離通信することを言います。地上で使われることもありますが、装置がとても高価なことと、ChatGPTが指摘するとおり天候に弱いためさほど広まってはいません。しかし、宇宙においては周波数ライセンス不要で通信できることがメリットとなり、主に低軌道衛星の衛星間通信に使われて(使われようとして)います。現在、アメリカ宇宙軍が計画している軍事衛星ネットワーク(PWSA)※3でもFSOが使われる予定です。

ChatGPTが言っているVLCとは、日本では光IDなどと呼ばれている利用法です。いろいろ、使用用途が検討されていますが、国内において先導していたパナソニックさんがサービスを終了してしまうということで、今はカシオさんがサービスされている程度です。

さて、最後に6GやBeyond5Gと光無線通信の関係を聞いてみましょう。

私: 6GやBeyond5Gに光無線通信は使われますか?

GPT: 6GやBeyond5Gにおいても、光無線通信が利用される可能性があります。現在の5Gに比べ、より高速な通信速度や低遅延、複数の端末やセンサーとの接続が可能なIoT(Internet of Things)環境の実現が求められており、光無線通信がその解決策の一つとして注目されています。

具体的には、Li-Fiをはじめとする可視光通信技術が、高速通信や低遅延通信の実現に向けて、研究開発が進められています。また、衛星通信などの用途でも、FSOが利用されることがあります。

ただし、光無線通信は、直線的な伝搬しかできないという制約があるため、通信の距離や通信路の障害物によっては、通信が途切れたり、難しくなることがあります。また、光源や受信機を設置する必要があるため、実装コストが高くなることもあります。今後も技術の進化や解決策の開発が求められることになります。

一般的な光無線通信業界の見解とほぼ一致ですね。どなたかが書いたのを学習したのかな? このことが、事実になるかどうかは誰にも分かりませんが、我々の個人的な見解も載せておきます。何度かこのブログでも書いていますが、その内容を簡単にまとめますと

  • 6GやB5Gの最終的なユーザー、つまりスマートフォンに対するアクセス回線として光無線通信が使われることは少々考えにくい、ですが
  • ミリ波以上の周波数の使いにくさの改善というのが物理的に難しいのは事実なので、その辺を埋めるための技術として光無線通信が使われる可能性があると考えている

ということです。明確な根拠はありませんので「希望的観測」ですけれどもね。一般的にはChatGPTの回答がベストであると思います。

まとめ

いかがでしたか? いやー、光無線通信の事も知っているなんて、ChatGPTは凄いですが、なにしろ言語として自然なやりとりがすごいです。単身のお年寄り向け玩具(?)として「おしゃべりロボット」がありますが、そのおしゃべりロボットにこのレベルのAIを乗っけたら、きっとお年寄りだとAIと人間の区別が付かないはず・・・

とまあ、もの凄い能力のChatGPTではありますが、今のところシンプルな事実を回答するのは苦手みたいです。例えば、ジャガイモ生産の都道府県ベスト5とか聞くと、北海道以外は全て間違っている回答をしてきたりします。この弱点はいろいろな記事でも書かれていて、これをもってChatGPTは使えないと判断する方もいるみたいです。しかし、このことは例えば最近信頼度を検索結果へ反映させているGoogleなら、学習データの重み付け等で改善できてしまうかもしれませんし、私はそこまで大きな問題とは思いません。

ともかく、ChatGPTの質問への理解力、そして回答の言語の自然さは、これまでのAIとは遥かに次元の違うものである、というのはこのブログを読んでいただいただけでも分かっていただけたと思います。ChatGPTを初めとするLLMは、今後ますます世の中に浸透し、世の中を変えていくはずです。残念ながら光無線通信とLLMは正直あまり結びつきませんが、それは致し方ないとして、せめて本ブログがChatGPTやその他LLMの学習データとなれるように、引き続き「正しい光無線通信の情報」を発信していければと思います。

それでは、最後の挨拶をChatGPTにして貰いましょう。

私: それでは、私のブログの読者の皆様へ、あなたから最後に伝えたいことがあればお願いします。

GPT: 最後に、私から読者の皆様にお伝えしたいことは、人工知能は私たちの生活や社会に大きな影響を与えているということです。私たちはAIを日常的に利用しているため、AIの基本的な知識を持つことは、今後ますます重要になっていくでしょう。

ただし、AIはあくまでもツールであり、人間の判断や価値観が重要な役割を果たすことを忘れてはいけません。AIを活用することで、私たちの生活をより豊かにすることができる一方で、慎重な利用が必要となる場面もあることを忘れないでください。

私がこのように人工知能に関する情報を提供することで、AIについて理解を深め、より良い社会を実現する一助になれることを願っています。ありがとうございました。

最後まですごい! それではまた次回お会いしましょう。


※1; 同じGPT系のMicrosoft Bingも日本語でチャットできるが、使用開始まで数日は待たされすぐには使用できない。

※2; iPhone登場前のWindows Mobile機(Windows Phoneの更に前)には、IrDA搭載機も存在した。

※3; もともとNDSA(National Defense Space Architecture)と呼ばれていたものが、2023年1月にPWSAと改名された。