LED通信事業プロジェクト エンジニアブログ
年末あいさつと3Dプリンター小ネタ
記事更新日 2022年12月27日
はじめに
隔週更新しているエンジニアリングブログも無事2022年の最終更新を迎える事ができました。1年のまとめとして、注目された記事や年末のごあいさつを記しつつ、3Dプリンター関連小ネタを投稿します。
年末あいさつ
今年も弊社エンジニアリングブログをご愛読頂き誠にありがとうございます。 弊社製品の特性、通信に関わる方々や業務の備忘録的として筆者自身にとっても有用な情報の提供や知名度向上のため隔週更新を続けている弊ブログですが、読者の皆様の問題解決の一助となっていれば幸いです。
2022年はバックホールに関する記事の閲覧数が特に伸びておりまして、LED Backhaulの製品名にも採用されている「バックホール」という用語について、日本語ドキュメントの少なさから広く通信に関わる方から読んで頂いているのではないかと思います。 他にも「CPRI」「フレネルゾーン」といった検索ワードにて弊ブログにお越し頂く方が多く、同様の理由で重宝されているのではないかと感じております。
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どちらかといえば通信そのものに関わるワードからお越し頂く機会が多い中で、光無線通信関連ではLi-Fiについて調べている方の閲覧が伸びているようです。
ポイントツーポイントの通信を行うLED Backhaulよりも、ユーザーに近い場所で使用されるLi-Fiの方が光無線通信としてはキャッチーなのだと実感すると共に、まだまだマイナーな光無線通信を広めるためにも存在を知って頂く機会を捻出しなければならないな、とも感じております。 そのためにもブログを通じた情報提供を続けていきますので、2023年もご覧頂けますと幸いです。
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また、年末年始については、以下の期間で全社お休みとさせて頂きます。 お問合せ等の対応はお休み期間後となってしまいますので、ご迷惑をお掛け致しますが、何卒よろしくお願い致します。
2022年12月29日(木) ~ 2023年1月3日(火)
3Dプリンター小ネタ
年始に書いた記事にて「トラックのホイール脱落事故」について軽く触れたのですが、劣化したホイールナットの使用や、ホコリや潤滑剤不足で十分な締結力が得られない状態での走行はホイール脱落に繋がるおそれがあるということで、2022年10月1日~2023年2月28日を実施期間として、大型車のホイールナット点検キャンペーンが国土交通省より発表されました。点検の結果、ホイールナットの交換が必要な場合、新品のホイールナットを無償で受け取ることが可能とのことです。
大型車のホイール・ナットの緊急点検を行います!(外部リンク)
ホイール装着は、車体のハブベアリングから伸びるハブボルトとホイールナットで行う (最近は逆にホイール外側からボルトを入れる方式も増加) のですが、締結時に工具を使うのはホイールナット側だけです。通常、ボルト・ナット締結の際はそれぞれに工具を当てて締結するため工具が2本必要になりますが、ホイールの場合はハブボルトとハブベアリングが噛み合って空転しない構造になっているので、ホイールナット側だけに1本の工具を当てれば締結することができます。このように片側だけ工具を使う構造にしておけば後の作業性が良くなるため、筆者も3Dプリンターで部品設計を行う際には、同様の構造を取り入れるケースが非常に多くあります。
前置きが長くなってしまいましたが、前述のようにボルト・ナット締結でも工具が1本で済むような構造について、というのが今回のテーマです。
FDM方式やSLS方式で扱う熱可塑性樹脂のように靭性のある樹脂であれば、タッピングビスやインサートナットを圧入することができます。一方、光造形方式で一般的に使われる硬く脆い樹脂では部品が欠けやすいので同じ感覚では扱えません。しかし、光造形方式には設計データの形状再現性の良さという利点があるので、六角形状のナットそのものを埋められる形状で設計してしまいます。
以下の図はとある部品 (何の部品かは今後言及する予定) の裏面と、ボルトを使って2部品を締結したものです。 部品に設けたくぼみにナットが嵌まりこみ、部品の締結時にナット側に工具を当てずとも締結できます。
埋め込んである六角ナット (一種 M3) はJIS B 1181で二面幅5.32~5.50mmと規格化されています。手元にあるM3ナットは実測5.4mm前後が多いので、設計する際は5.4mmを基準としています。 部品のくぼみについては、対辺5.4mmの六角形状を設計値としており、基本的に5.4~5.7mmの間で設計しています。 これは3Dプリンターの造形精度の問題で、造形プラットフォームの面と平行にナットを埋め込む方向で造形する場合には高精度に造形できるので遊びを少なくすることができますが、それ以外の場合は余分なレジンが付着したまま硬化する等の原因で精度が出難いため遊びを多くとっているためです。
造形物に対してナットは圧入するというよりも、ナットの角が部品に接触してボルトとの共回りを防ぐ構造になっています。 このような構造にすることで、ボルト側の工具のみで締結できるため作業性が向上します。 使用する3Dプリンターや設定によって二面幅の寸法は調整する必要があるので、テストプリントでどの程度の寸法・遊びを設けておくのが適切か把握しておくと今後の作業が捗るかと思います。
まとめ
以上、年末あいさつと3Dプリンター小ネタでした。
エンジニアリングブログでは、弊社が携帯電話関連事業を含めた無線通信環境構築に広く関わっているからこそ書ける内容として、光無線通信だけではなく様々な無線通信に関する内容を取り扱っています。無線通信でお困りの際や解決したい課題を抱えている際には、弊社へお問合せ頂けますと幸いです。
それでは、2023年もよろしくお願い致します。