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【社内雑談】iPhone17日本版もやっぱりミリ波非対応

記事更新日 2025年9月24日


はじめに

我々なんですが、こんなに携帯電話のミリ波のことばっかり書いているブロガーはいるのかと思うほどにミリ波をネタにし続けています。当然、iPhoneとミリ波についても触れていて、これまで二度ほど記事にして参りました。

皆さんご存じとは思いますが、先日9月19日にiPhone17シリーズが発売されました。なので、今年もやっぱりミリ波対応について触れないわけにはいきません。とはいえ、iPhoneとミリ波について伝えたいことはすでに上2つの記事でおおよそ書いちゃってますので、今回はさらっと事実だけを述べた短めの雑談となっております。ミリ波に興味のある方は、是非ご一読を。

いつものことですが、このブログは個人の見解で、会社としての方針では決してありません。個人が勝手に書いているものだとしてお読みください。尚、各企業・団体の敬称は省略させていただきます。

iPhone17はどうだったのか?

社員A(以下A): さて、今年もiPhoneが発売される季節となりました。iPhone17です。今年は9月19日発売でしたから、先週の金曜日のことです。ドコモのeSIMが上手く動かないようでドコモからは販売一時停止になるなど、iPhoneでは珍しい問題発生からのスタートですが、BさんはiPhone17シリーズについて、どう感じていますか?

社員B(以下B): 今回は17シリーズだけじゃ無くて、薄型のiPhone Airも同時に発売されたね。17無印からPro Maxまでは正直あまり好きなデザインじゃ無いけど、Airの薄型を追求するっていうのは良いね。最近の「軽量化」を疎んじるとまでは言わないが、軽量化をそこまで重視していない風潮は、小型軽量化こそ正義と考えてしまうおっさんとしてはあまり好ましく無かったから。他のメーカーも是非軽量化を思い出してほしい。

A: 本当は、カメラまで薄くしたかったんでしょうけど、それは難しいみたいですね。どの機種もカメラは出っ張っています。

B: そこは、Appleといえどもなかなか難しようだね。

さて、本題。我々といえばミリ波応援隊なわけなんで、今回のiPhoneでミリ波がどうなったのか見ていこう。下にiPhone17シリーズのミリ波対応状況をまとめてみたよ。

機種 ミリ波対応状況 備考
iPhone17(無印) A3258(USA)のみ対応
iPhone17 Pro A3256(USA)のみ対応
iPhone17 Pro Max A3257(USA)のみ対応
iPhone Air 非対応 C1Xモデム搭載

A: iPhone16と同じ結果といっていいんでしょうか?

B: 同じだね。相変わらず、米国版のみ対応。それ以外の国は非対応。

ちなみに、日本のiPhoneはヨーロッパと同じ「International」版。他には、「中東+カナダ+メキシコ」版と「中国」版がある。つまり、iPhone17シリーズはそれぞれ全4モデルあるんだけど、USA版以外のいずれもミリ波非対応となっている。

A: 状況はこれまでのiPhoneと変わらないわけですか。ところでiPhone Airは「非対応」となっていますが、これはUSA版含めて非対応ってことですか?

B: そう。備考にも書いてあるけど、何故かiPhone AirだけがC1XというApple製モデムを使っている。Appleのモデムについては前回のiPhone16eの時に詳しく書いたのでそちらを読んで頂ければ。

A: 前回のiPhone16eからAppleが自作のモデム(C1)を採用して脱Qualcommを目指すって話でしたよね?

B: そうそう。で、今回はiPhone AirだけAppleだけC1モデムの後継機C1Xを搭載していると公式に発表している。そして、C1に引き続きC1Xもミリ波に対応していないから、iPhone Airは米国向けでもミリ波は非対応なのだろう。

だからか、iPhone AirにはUSA版というのは存在していなくて、「International」「中東+北米3国」「中国」の3モデルでの展開だ。もともとミリ波以外差が無いんだから、ミリ波非対応ならわざわざUSA版を作る必要は無いからね。

A: ということは、逆説的にiPhone17はQualcommのモデムを使っているということになりますよね?

B: Appleは公表してはいないが、おそらくそうだとメディアは言っている。Appleから公式発表されることはないだろうが、暫くしたらどこかの分解サイトが正解を出してくれるだろう。

一応、Appleとしては、Airに自社モデムを採用した理由として「省電力」を挙げていた。本当にC1XがQualcommのモデムより省電力かどうかは知らないが、電池的には確実に苦しくなる薄型のAirに載せるんだから、ある程度省電力性能に自信があるのは間違いない。

また、Appleは携帯電話モデム以外に、Wi-FiやBluetoothを管理するチップもN1という自作チップに変えたと発表している。今後、内部のチップを次々とApple製にすることによって、製造、そしてライセンスのコストダウンを図っていっているようだね。このままだと、全ての半導体部品がApple製になってもおかしくは無い。

A: とりあえず、来年のiPhone18のモデムが全てApple製になるかウォッチしていきたいですね。

他のミリ波対応状況

B: さて、Appleは相変わらずUSA版のみミリ波対応で、他は非対応にしてきた。ということは、残念ながらiPhone大好きな日本におけるミリ波は、暫くは何も状況が変わらないということがほぼ決定した。

A: そうですね。iPhoneが対応しないと、日本の各携帯電話事業者は決して本腰をいれないでしょうからね。

B: ただ、嘆いているだけじゃ仕方ないので、何か可能性がないか他社の動向を見ていこうと思う。先ずは、Googleから。最新はPixel 10シリーズなので、そのミリ波対応状況を調べた結果がこちら。

機種 ミリ波対応状況 備考
Pixel 10(無印) GLBW0(USA)のみ対応
Pixel 10 Pro G4QUR(USA)のみ対応
Pixel 10 Pro XL GUL82(USA)のみ対応
Pixel 10 Pro Fold 全モデル対応 折りたたみ型(10/9発売)

A: 上の表によるとGoogleもAppleと似たようなものですが、折りたたみのFoldは全モデルミリ波対応なんですね。Foldは大型の折りたたみ機種のため超高級で台数は出ないでしょうけど、そういう端末もあるんですね。

B: Googleのミリ波対応は、以前からそのルールがよく分からないんだけど、今回はFoldだけ全モデル対応で、後の普通の機種はUS版のみ対応ってことになるね。

ちなみにだけど、Google Pixel10は、全機種日本だけ専用モデルになっているんだよ。Foldなんか2モデルしか無いのにね。グローバル版と日本版の2つ。

A: へー、面白いですね。っていうか、何故日本専用なんでしょう?

B: 日本版だけFelicaに対応しているみたいだね。つまり、PixelでSuicaが使えるのは日本版だけ。

ちなみに、PixelはUS版だけ日本、中国、インドの衛星測位システム※1に対応していない。そのアジアの3つは、別に周波数的に特殊なわけでも無いから、なんで非対応なんだろうか?まあ、チップセットの問題なんだろうけど。

A: Pixelは、いつもいろいろと面白い仕様ですね。こちらも、モデムに関しては今後メーカーを代えるという報道もあるため、今後のミリ波対応には目が離せません。

B: 次に、SamsungのGalaxyシリーズ。Galaxyは、機種がめちゃくちゃ沢山あるため、高級機種であるZシリーズとSシリーズ、かつ日本で販売している現行機種だけピックアップしてみた。

機種 ミリ波対応状況 備考
Galaxy S25 USA版のみ対応
Galaxy S25 Ultra USA版のみ対応
Galaxy Z Flip7 USA版のみ対応 小型折りたたみ
Galaxy Z Fold7 USA版のみ対応 大型折りたたみ

Galaxyは、基本インターナショナル版とUSA版の2モデル展開で、結果としてUSA版だけミリ波に対応している。他にもここに載せていない機種も色々と調べたけど、私が調べた限り今年発売のGalaxyの中でUS版以外にミリ波へ対応しているモデルは存在しなかった。

というか、実は2025年発売のスマホで、この3社以外でミリ波対応のスマホを見つけられなかった。マイナーなメーカーとかで対応機種はあるのかもしれないが、トップ10に入るような主要メーカーにミリ波対応機種は無いと思われる。

A: と、いうことは今日本でミリ波対応の最新機種を買おうと思ったら、Google Pixel 10 Pro Foldしか無いってことですか?

B: 見逃していたら申し訳ないが、私が調べた限りそのようだね。

A: Foldって、最高級折りたたみ機種ですよね。あの、参考までにおいくらなんですか?

B: Googleの直販で、267,500円※2からだ。

A: そんなの買えるわけ無いじゃないですか!

fig.7

まとめ

A: それでは、まとめをお願いします。

B: iPhoneも、Pixelも、Galaxyも、ミリ波に対応しているのは米国モデルだけ。日本含めたそれ以外の国では、ミリ波対応モデルの入手すら困難になってきている。

これまで、ミリ波対応基地局が少ないと文句言ってきたけど、厳しい言い方をするとミリ波は「手遅れ」になったのかも知れない。もう、スマホメーカーはミリ波へ積極的に対応する気はないよ、きっと。もともと、Huawei、Xiaomi、OPPO等の大手中国メーカーは最初からミリ波に対応する気はないから、そこもミリ波には厳しいしね。

A: やっぱり、中国が国としてミリ波に対応する気がない、というのがここに来て効いているのかもしれませんね。絶対に売れないものであっても中国政府が言うなら仕方ないから対応するって、Huaweiならやってくれそうですもんね。

B: そうそう。ミリ派界隈にそういうメーカーが参加していないのは非常に痛い。だとすると、ミリ波を救えるのはもうAppleしかいないんだろうな。iPhone17eか、iPhone18に積まれるであろう次期Apple製モデム”C2”にミリ波対応を期待するしかない。そして、その勢いでUS版だけでなく、インターナショナル版もミリ波対応にして貰うしかない。

A: もし、"C2"もミリ波非対応ならどうなるんですか?

B: その時は、The endだ。あきらめて6Gに期待だ。

A: ミリ波の命運はAppleにかかっています。Appleさん、我々ミリ波応援隊のためにも是非頑張ってください!!

B: Appleだって、勝手に期待されても困るだろうよ・・・

(担当M)

※1; 日本は「QZSS」、中国は「BeiDou」、インドは「NavIC」と呼ばれる測位用衛星システムを運用している。QZSSとNavICは自国周辺のみ利用可能、BeiDouは全世界で利用可能である。尚、iPhone17シリーズは全モデル、上記3つの測位システムに対応している。

※2; 2025年9月19日時点での価格。