LED通信事業プロジェクト エンジニアブログ
ジョイント機能を用いて設計した部品の造形と可動部の確認
記事更新日 2023年5月16日
はじめに
過去記事にて、3DCADソフトFusion360のジョイント機能を用いて、可動する部品について記しました。
記事中のモーターの軸回転によって動作するアーム、連動して伸縮するシリンダーを3Dプリンターで造形し、意図した通りの動作ができるのか確認していきます。
設計のブラッシュアップ
改めてになりますが、油圧ショベルカー型のRaspberryPiラジコンを開発しています。以前の記事から形状の調整や部品の分割を行い、3Dプリンターで造形するための準備を整えてきました。
余談ですが、サーボモーターのデータシートに沿って設計していたのですが、現物とは数mm寸法が異なっていてテストプリント後に大幅に設計変更を余儀なくされました。データシートと購入したサーボモーターの型番は同じだったのですが、一体何のモーターの情報が記載されていたのか、謎のままです……
造形した部品
造形に向けて調整した内容について、まずは弊社で使用している3Dプリンター NOVA3D Elfin2 の造形可能サイズに収めるため、また、分解して運搬時の出っ張りを無くすためにブーム (車体から伸びるショベルアームの1段目) 中腹で分割する構造にしました。
アーム (ショベルアームの2段目) については全長を詰めて120mmにすることで、1度で造形できるサイズに収めました。
バケットは全体的にディティールを追加、ダミー油圧シリンダーのリンク位置を調整しました。アイコン的部品ですので大きめに設計したのですが、少し大きすぎたかもしれません。今後の運用で破損してしまった場合、もう少し小さく造形してみることにします。
ダミー油圧シリンダーには、車軸に用いた直径3mmのアルミ棒の端材を流用することにしました。銀色なので、見た目的にも精度・強度的にも適した部材でしたので、全てを3Dプリンターで作ってしまうのではなく、このような既製品を適材適所で活用できると設計・造形が捗りますね。
シリンダーのチューブは、手元に良いパイプが無かったので3Dプリンター造形としました。前述の直径3mmのアルミ棒を通すのでクリアランス確保のために内径4mm・C型断面の筒形状にしました。元々は内径4mmのパイプ形状で造形していたのですが、筒内部に溜まったレジンが意図せず造形中に固まってしまい、筒が途中で詰まってしまうトラブルが発生したので、スリットを入れて積極的にレジンを排出できる構造にしています。
ダミー油圧シリンダーはアームに2箇所設けています。あくまで飾りとしての部品なので、共用できた方が便利と判断し2箇所共に同寸法で設計しました。
可動部の確認
造形した部品全体を組み立てます。未塗装の黒レジンですので見た目でのディティールは潰れ気味ですが、やはり全体に占めるバケットの大きさが目立ちますね。
それでは、各モーターの軸を回転させて、ダミー油圧シリンダーが連動して動作する様子を確認していきます。 ダミー油圧シリンダーが最も縮んだ状態と最も伸びた状態の2つの状態まで動かします。
どちらもFusion360のジョイント機能を使って回転させた状態と比較しても、全く同様にダミー油圧シリンダーが伸縮している様子が確認できます。
写真を撮影した際は手で動かしていたのでわからなかったのですが、サーボモーターに電源を投入して動作させてみたところ、ダミー油圧シリンダーを縮める際、アルミ棒先端が筒内壁を擦っているようで抵抗になっていました。アルミ棒先端の角を丸める、オイルを塗布するといった摺動抵抗を低減する処理を今後施す予定です。
設計画面上ではジョイントが抵抗なくスルスルと動いてくれるので、このように抵抗になっている箇所は実際に作ってみないと気づかないポイントでした。
まとめ
以上、ジョイント機能を用いて設計した部品の造形と可動部の確認でした。
3DCADソフト上では干渉なく動作することを確認してからの3Dプリントでしたが、やはり実際に造形してみると思わぬところでトラブルが出てきますね。可動部については、各部を調整したおかげで意図した通りの可動範囲を確認できて一安心です。
Raspberry Piラジコンとして運用できる状態にするためには、ショベルカーとしての外装を作り込む必要があるので、進捗があり次第こちらのブログでまた報告させて頂きます。