2月2日、厚木商工会議所会員の皆様28名が、研修の一環である「企業訪問活動」のため来社されました。
三技協の経営理念とその取り組みをご紹介し、続けて新規事業化を進めている製品LED Backhaul®の通信デモンストレーションをご覧いただきました。そして、今回の主目的であるオフィス見学では、MIRAIMA(※1)のコンセプト紹介を交えながら、三技協の“未来を創る場”をご覧いただきました。
オフィス見学の最後に、参加者の方からご質問をいただきました。
「IKEAやGoogleなどと同じように未来的で素敵なオフィスですが、このMIRAIMAを建設したことによる投資対効果はどのようなものがありましたか?」
社長の仙石は、少し考え次のように答えました。
「数値的な効果は、まだ計測できません」
オフィスの投資対効果は、どのように算出すればよいのでしょうか。
ワークスタイル変革のROI(投資対効果)算出に使う指標(※2)には、下記の5項目があります。
1. CAPEX (Capital Expenditure、設備投資額)・・・賃貸費用の削減/リプレース資産の差額など
2. OPEX(Operating Expense、運用コスト)・・・交通費/移動回数/印刷費用などの削減
3. リスク管理・・・事故/災害/流行病等による営業機会損失の回避
4. 生産性・・・待機時間/作業工数/通勤移動時間などの削減
5. イノベーション・・・経営戦略に対する貢献度
MIRAIMAのコンセプトは、「交流」「創造」「発信」です。
1世紀企業を目指す三技協の全社員が知識を共有し、未来を展望するという意味が込められています。
交流の場:お客様を迎えて知識を共有する場
創造の場:ディスカッションで知恵を生み出す場
発信の場:未来を展望し情報発信する場
これら3つの場を融合し、次の50年への新しい価値を創造する戦略的活動拠点としています。
そのため、MIRAIMAの場合、比較的数値化しやすい指標項目1~4は該当しにくく、「5.イノベーション」に特化したオフィスであるといえます。
「イノベーション」は、定性効果であり金額換算が非常に難しいといわれています。
効果を測るには、『経営戦略に対する貢献度』を重点要素とし、「売上高・受注の向上」「社員満足度の向上」「顧客接点の拡大」「自社イメージの向上」など様々な指標を定義し、総合的かつ継続的に計測・算出します。
前述のとおり、MIRAIMAはイノベーションのためのオフィスです。生産性向上やリスク回避など、業務の効率アップに直結する効果は測定できません。それでも経営者は、新しいオフィスに「経営戦略に対する貢献」という成果を求めました。これまでの思考で仕事を続けることに、大きなリスクがあると判断したのです。
近年、技術の進歩により社会の産業構造は大きく変化しています。三技協が身を置く通信業界も例外ではなく、大きな転換を迫られています。新しい産業構造に照準を合わせ、新しいビジネス領域に参入しようと、多くの企業が目まぐるしい勢いで事業改革を進めているのです。
このような社会の変革期だからこそ、目の前の業務効率ではなくイノベーション専用のオフィスを造ったのです。
MIRAIMAが竣工してから1年半が経ちました。「交流」「創造」「発信」の場の活用が定着し、社員の考え方に少しずつ変化が表れてきているかもしれません。具体的な成果を出すには、まだ多くの時間が必要ですが、1世紀企業に向けて一歩ずつ確実にその歩みを進めています。
先の投資対効果に関する質問への回答で、仙石は次のように続けました。
「数値的な効果はまだ計測できません。しかし、これまで50年間エンジニアリングを続けてきた当社の社員が、既成概念を取り払い、これまでとは違うものの見方や考え方をする機会は確実に増えています。何年か先にはそれが数値的な効果として表れているはずです」
MIRAIMA TOPICS 編集部