LED通信事業プロジェクト エンジニアブログ

ファイルアップロードテスト ピカティニー互換レールの3DCADデータ

記事更新日 2025年5月7日


はじめに

USB Type-Cの動作試験から始まり、プリント基板を発注してコネクターを介した駆動回路を構築した連載企画が一段落しました。
簡単な電子工作的な内容ですので、ご興味のある方お読みいただければ幸いです。

さて、これまで画像はさんざんブログにアップしてきましたが、ダウンロードしてから使用するようなファイルをアップロードしたことがないことに気づきました。ブログ更新作業として特に問題無いことが確認できたので、試験的に業務で作成した3DCADデータをアップしてみます。

相変わらず事務所ではなく外での勤務が大半で、プログ執筆時間を確保できないのが最近の課題です。まだ数ヶ月間この状態が続きそうなので、しばらくはもうひとりのブログ筆者に更新を代わってもらいます。

3DCADデータのアップロード

いきなりですが3DCADデータを2種類、アップロードします。
ピカティニー互換レール.stl
ピカティニー互換レール.step

STLファイルは、モデルの表面形状を三角形の集合 (ポリゴン) として表現しており、主にスライサーソフト (3Dプリンター用の積層データに変換を行うソフト) に投入したり、3DCGソフトとして有名なBlenderにインポートするために使用します。
STEPファイルは、モデルの表面だけではなく中身の詰まった立体 (ソリッドモデル) として表現しており、主に異なる3DCAD間での設計データのやりとりを行うために使用します。エクスポート後にも形状の編集が容易なファイル形式です。

アップした3Dモデルは、MIL-STD-1913 Picatinny Rail を元に作成したモデルです。元はインチ仕様なのでミリ仕様に寸法を丸めつつ、材料削減および軽量化の肉抜きもあるので、互換レールというと呼んだ方が良さそうなので、ファイル名もそのように振ってあります。
ピカティニーレールは小火器にライトや照準器具といったアクセサリーを装着するインターフェイスです。火器ごとに専用設計されていた取り付け部分を標準化することで、アクセサリーの共用化を図っています。
なぜいきなりミリタリー談義?と思われるかもしれませんが、弊社製品のLEDBackhaulは、方向調整を行う際、通信機上部に設けたピカティニーレールに対してスコープを装着する構造となっています。実は深く関わりのある機構なのです。(設計に関わった筆者の趣味とも言えますが)
製品には3~9倍のスコープを標準添付していますが、もっと高倍率なスコープを使いたい場合は、ピカティニーレール対応のマウントリングとスコープを別途用意すればそのまま取付け可能です。

fig.1
LEDBackhaul実装のレール

このように市場で販売されている既製品が極めて簡単に装着できるという特性を活かし、現在開発中の小型LED通信基板においても、設置時の基準角度を割り出すために、レール取付け治具を介してレーザーサイトを装着しています。
CADデータについては3Dプリンターへの投入や改変等ご自由にお使いいただいて構いませんが、二次配布や自作発言はお控えいただくようお願いします。決まり文句ですが、本データをご利用の際に生じた不利益について当社では責任を負いかねますので、予めご了承ください。
治具部分はちょっとしたノウハウが詰まっているのでCADデータ公開は避けます。また、下図の基板部分について、開発中ということもあり部品配置がわからないように伏せています。

fig.2
小型LED通信基板と治具

他にも私物の照準器を取付けてみました。当然ですが何の問題もなく取付けられます。
このように土台部分となるレールさえ用意しておけば、ピカティニーレール対応の器具を何でも流用が可能です。

fig.3
光学照準器の装着

設計の解説

せっかくアップしたので、各部の解説です。
基本的にはインチ設計の本家を元に、ミリに修正したものとなります。
ブログの記事執筆のために改めてピカティニーレールについて調べていると、どうやらミリ規格にしつつ微調整を行ったSTANAG 4694 NATO Accessory Rail という規格が存在している模様。最初からそちらを参照しておけば良かったと若干後悔しました……

fig.4
レールの図面

レール前後にはボルトの埋まる穴を設け、M3の六角キャップボルト・スプリングワッシャー・旧JISワッシャーを用いて治具に固定できるようにしています。
前後穴の間隔は32.3mmで、位置決め用の溝を3本設けています。ワッシャーが旧JISなのは手元に在庫が大量にあったからで、深い意味はありません。強度を持たせたい部品でもなかったので、全体的に肉抜きを行って3Dプリンターで製造する際の材料を削減および軽量化しています。
光造形の水洗いレジンで作っているので、強度的に重いスコープの取付けには不安が残りますが、軽いレーザーサイト程度であれば全く問題なしです。レールの角も土台より出っ張っているオーバーハングとなっていますが、角度が45度のためサポートいらずで目立った変形もなく造形できました。
FDM方式では試していないので、どこまで再現できるか未知数なところです。形状面もそうですが、積層方向に注意しないと器具のクランプ箇所から剥離しないか若干心配です。

fig.5
製造したレールと治具

小型基板下面には、微動雲台を取り付けるためUNC1/4ナットを埋め込んだ治具を装着しています。
フチに一段高いガイドを取付け、微動雲台の取付面と噛み合うように調整しています。取付け用のボルトを締め込むだけだと、取付面のゴムの摩擦だけでは受けきれず、微妙に回転してしまったりするんですよね。
こちらも治具本体ということもあって3Dモデルのアップは避けています、ご了承ください。

fig.6
微動雲台取付け用治具

まとめ

以上「ピカティニー互換レールの3DCADデータ」でした。

仕事で3DCAD設計をしているとCADデータまでは公開できないものも多いのですが、一度ブログの機能としてファイルアップロードを実施してみたかったこともあり、今回はレールのSTLファイルとSTEPファイルをアップしてみました。
今後もアップロードしても問題なさそうなものがあれば、今回のように成果物報告を兼ねて上げてようかと思います。

それでは、今回もご拝読いただきありがとうございました。

(担当Y)