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トイドローンTellの飛行について

記事更新日 2024年7月2日


はじめに

前回記事にて紹介しましたトイドローンTelloについて、今回は実際に飛行させてみた様子をお届けします。
Telloという名称を見て本ブログに訪問された方にとっては、いよいよ本題となる内容かと思います。屋内無風、屋内風あり、屋外無~微風、屋外風ありの4パターンで飛行させます。

Telloの飛行-屋内

では、Telloの飛行準備を行います。
Telloにバッテリーを挿入して電源を投入したら、まずは操作端末であるiPhoneのWi-Fi設定からTelloに接続します。接続が完了したらTelloアプリを起動し、操作画面に移ります。
Android端末の場合Telloアプリが対応していないので、Tello EDUアプリという、操作とゲーム的な機能が統合されたアプリを使用します。
ちなみに、今回の記事では24年度弊社新入社員に撮影を手伝ってもらいました。今回は撮影のみでしたが、将来的にブログ執筆者のローテーションに加わっていただきたいなという野望を抱いています。毎度ネタをひねり出すのは大変なんですよ……

fig.1
飛行前のTelloと操作端末

離陸は画面左上の離陸ボタンをタップした後、画面の指示に従ってスワイプすると自動で1~1.5m飛び上がります。
それではフライト開始!

fig.2
Tello離陸

特に難しいこともなく、勢いよく飛び上がりました。
記事執筆時点で何度も飛ばして特性を把握してしまっているので感動も何もありませんが、初フライト時はDIPS登録必須機体よりも圧倒的気軽に飛ばせる様に驚きました。Phantom3ほどの機体になるとモーター音も吹き付ける風も強いので、緊張するんですよね。
それではもう少し高度を上げて、ホバリングさせてみましょう。

fig.3
屋内無風環境での飛行

撮影に使った室内ではエアコンの風が吹き付けていたので、若干風に煽られていますが非常に安定しています。Tello脅威のメカニズム。
Bluetooth接続のコントローラーを使ったスティック操作もできるのですが、この小型の機体にコントローラーまで用意したら手軽さが失われると思って購入しておらずでした。そのため、アプリ上でのバーチャルスティック操作となってしまうので機敏な操作はできません。無操作時間が長くなるからこそ機体本体の安定性が活きてくるわけですが、惚れ惚れするような安定感です。
コントローラーを用意してあげれば、もう少し大型の機体の飛行に向けた教習なんてこともできてしまいそうです。

このように安定した姿を見せつけられると、なんとかして姿勢を崩してみたくなりませんか?私はなります。
そこでサーキュレーターの風を当て、飛行中のTelloがどの程度姿勢を崩すのか検証します。まずはどこのご家庭にもある風速計を使用して、サーキュレーターから生じる風速の測定を行います。
サーキュレーターを最大で回し、ファン正面から1mの地点に風速計を置きます。画像ではあくまで測定風景の例示で、実際の測定時は風速計を手持ちで測定しました。
校正されていないジェネリック計測器の値が信用できるかはともかく、風速3.0m/sと測定されました。

fig.4
サーキュレーター風速確認

こちらの風速計、なにもサーキュレーターの確認用に調達したものではなく、ドローンの安全な飛行のため、離陸前の環境測定に以前から活用しているものです。
最近のドローンですと、カタログスペック上は耐風速12m/sとの記載があったりします。では、地上で測定した風速が10m/sであればスペック上の耐風速内なので飛行可能かと言われると、必ずしもそうとは言えないのです。上空は地表の抵抗がない分風が強く吹く傾向にあるので、50m、100mと高度を上げた際に耐風速以上の風が吹いていることが予想されます。また、風に抗うためにバッテリーをより多く消費してフライト時間が著しく減少することにも繋がりますし、抗いきれずに流されていくことも考えられます。そのため、筆者としては地上での風速確認実施時、飛行の許可を出す風速は5m/s以下をひとつの基準としています。
正直に申しますと、風速5m/sでもドローンは流されますのであまり飛ばしたくはありません。ですが屋外において無風のタイミングはそう多くないので、風に抗う操作をマニュアルで行うことで対処できる範囲として飛行許可の判断を行っています。
このしきい値は安全率や機体規模、操縦者の技能によって変わるかと思いますので、各自ちょうどよい値を見つけていただければ幸いです。

それでは飛行中のTelloに対してサーキュレーターの風を当てていきます。
機体は流れるのか、静止できるのか……

fig.5
屋内風あり環境で飛行

多少暴れつつも耐えました!
gifなので無音ですが、実際はいかにも全力ですというような音が鳴り響いてます。
風は画面向かって右側から当てており、サーキュレーターの向きを上下左右に変えて風の当たり方を調整したり、無風状態から急に風が吹くような状態を人為的に作り出しました。風が当たった瞬間や当たり方が変化する際は姿勢が変化して不安定になりますが、当て続けた状態になると機体を傾けプロペラを強く回しながら比較的安定した姿勢で風に抗っています。これが各種センサーを駆使した制御技術の賜物なのでしょう。
この規模の機体に風を当てても、一定の安定性を維持しているのは素晴らしいです。

Telloの飛行-屋外

屋内性能が優秀なことはわかったので、次は屋外に持ち出してみましょう。
先に残念なお知らせとして、この記事を執筆する前にも屋外で飛行させていたのですが、屋内とは違って突風が度々吹いて機体が流されることが判明しています。対策として、釣り糸で作った係留紐を掛けられるようにし、風に流されてロストしてしまわないようにしてあります。屋外では係留紐を掛けたり、常に手の届く範囲で飛ばすに留めておいた方が無難です。
GPSを積んでいればもう少し屋外環境にも耐えたかもしれませんが、この軽量コンパクトな機体に何でも求める方が酷という話です。得意な領域内で飛行させるのが適切でしょう。

fig.6
係留紐

屋外飛行についてネガティブなことを書いてきましたが、いよいよ飛行に移ります。
上記の通り、風対策として係留紐を掛けた状態で、まずは可能な限り風の少ないタイミングを狙って飛行させます。

fig.7
屋外無~微風環境で飛行

屋内と違って多少は不安定になりますね。
この程度のブレであれば、まだ操縦者も安心して飛行させられます。
しかし、屋外は常に状況が変化するため、常に無風でいられるとは限りません。それでは風の強いタイミングを狙って飛ばしてみます。

fig.8
屋外風あり環境で飛行

より強く風の影響を受けるように高度を上げてみましたが、見事に風に流されました。
単純に風に流されて位置が動いたり、風になびいた係留紐に引っ張られてバランスを崩したり、無操作にも関わらず動き回ります。目まぐるしく位置が変わるため、撮影者も画角に収まるよう追いかけることに必死でした。
飛ばしながら風速確認を実施することができなかったので体感にはなりますが、風速4~6m/s程度あったのではないかと思います。サーキュレーターの風には耐えても、さすがにそれより強い風が吹くとお手上げですね。
gif画像には含まれていませんが、着陸する際の降下中、弊社敷地端のゴミ箱に激突してしまいました。駐車場の車に当たらなくて良かった……

航空法による制約がなく自由に飛ばせるといっても、機体がその自由さに耐えられるかどうかは別問題であることを実感しました。
以上4パターンの飛行により、無風、もしくは弱い風の吹く環境下であれば安定して飛行可能であることがおわかりいただけたかと思います。
一方で、風の状況が変化しやすい屋外での飛行は基本的に避けた方が無難です。屋外飛行をするのであれば、機体をロストする可能性を抑えるために係留紐による対策を施すか、すぐに回収できるような高度・範囲で飛ばすように心がけたいところです。

まとめ

以上、トイドローンTelloの飛行についてでした。
100g未満の小型機体でも、条件が揃えば空中で静止できるのは驚きです。過信は禁物ですが多少の屋外飛行もできて、なかなかおもしろい機体です。
せっかく購入したので他にも活用したいのですがアイディアが……そのうち思いつくことに期待します。

それでは、今回もご閲覧いただきありがとうございました。