LED通信事業プロジェクト エンジニアブログ

HDMIエクステンダーとLED Backhaulを用いた映像伝送

記事更新日 2022年10月4日


はじめに

LED Backhaulを用いた映像伝送において、エンコーダー・デコーダーよりも簡単・安価な機材として、弊社ではHDMIエクステンダーを用いた環境構築を行うことが多々あります。 高価であったり長距離を送ることが苦手なHDMIケーブルを、安価かつ一般的によく使われるLANケーブルに置き換えて伝送経路を構築するために用いられるHDMIエクステンダーですが、ものによってはLANケーブル区間にLED Backhaulを経由して映像を送ることができない場合があります。 機器のジャンルとしては合っているはずなのに何故送れないのか、なかなかわかりにくいポイントであるとお客様対応の中で気付かされましたので、今回はLED Backhaulと組み合わせられるHDMIエクステンダーについて記します。

HDMIエクステンダー

送信側となるトランスミッター、受信側となるレシーバーの2台1セットを基本構成とする機械で、トランスミッター・レシーバー共にHDMIケーブルとLANケーブルが接続できるようになっています。HDMIエクステンダー実機と機材構成例は下記図1・2の通りです。 トランスミッターはHDMIケーブルから映像信号を入力として受け取り、LANケーブル側に出力します。レシーバーはLANケーブル側から受け取った信号をHDMIケーブルに映像信号として出力します。 このトランスミッターとレシーバー間、LANケーブル区間の伝送方法によってLED Backhaul対応か否かが決まりますので、対応・非対応について次章にて記します。

fig.1
図1:HDMIエクステンダー実機
fig.2
図2:機材構成例

TCP/IPタイプ

図1にて並べた実機について、左側に位置するものはLANケーブル区間をTCP/IP伝送するタイプのものです。 こちらの機器は下記図3のように、トランスミッター・レシーバー間にLED Backhaulを接続することで映像信号を送ることができます。機器同士が接近していて接続がわかりにくいのですが、図3の構成を実機で接続したものが図4となります。 LANケーブル区間には常時100Mbpsの信号を流しているため、LED Backhaulが100Mbps以上のリンクを張れる環境であれば映像伝送することができます。 また、スイッチを経由して映像信号を送ることが可能で、機器によってはトランスミッター1台に対してレシーバー複数台を接続するという運用も可能です。一方、これは特定機種の問題かもしれませんが、トランスミッターとレシーバーが1対1で通信するのではなく、トランスミッターがETHER側にブロードキャストし、ブロードキャストされた信号を受け取ったレシーバーはHDMIに戻すという挙動を取る関係で、トランスミッターと同じLAN内に接続する他の機器に負荷が生じてしまいます。そのため、既設LANへの接続は避けてHDMIエクステンダー専用のLANを構成するのが無難かと思います。

fig.3
図3:LED Backhaulを用いた構成例
fig.4
図4:図3の実機構成

非TCP/IPタイプ

図1の右側に位置するものはLANケーブルを用いるもののTCP/IP伝送しない、単に8芯の導線として使用するタイプのものです。 イーサネットについても非対応ですのでLED Backhaul経由で映像信号を送ることはできず、スイッチに接続してもTCP/IPタイプと異なり機器が接続したと認識されません。 LANケーブルを2本を使うものであったり、1本であっても製品にTCP/IPやOverIPという表記が無い場合、また機器への電源接続はトランスミッターのみとされている場合、こちらの可能性が高いので、LED Backhaul経由で映像を送りたい場合は注意が必要です。LED Backhaul非対応の非TCP/IPタイプ実機が手元にあるということで既に察しているかもしれませんが、間違えて購入してしまいました……

まとめ

以上、LEDBackhaulを組み合わせられるHDMIエクステンダーについて記しました。 簡単に購入できる品ですが、意外と落とし穴に嵌まりがちなポイントですので、弊社製品との連携に関わらず機器購入の一助になれば幸いです。 また、今回はコンシューマ向けの安価な機器を用いた構成でしたが、過去にプロ向けのエンコーダー・デコーダーを用いた4K・8K低遅延光無線映像伝送を構築した実績もありますので、ご興味のある方はお問い合わせください。