LED通信事業プロジェクト エンジニアブログ

LED Backhaul 社内実験環境

記事更新日 2021年8月24日


はじめに

エンジニアブログ第1回で紹介した論文中に記載の窓越しラストワンマイル通信の効果をフィールドテストするため、弊社横浜本社の敷地内にLED Backhaulを設置し24時間常時稼動させて天候や経年による変化を測定しています。
今回はフィールドテストの様子について、特に設置状況にフォーカスして紹介します。

主な実験機材

・LED Backhaul x2
建物屋上とLED通信事業プロジェクトのオフィス内とを結ぶ回線として使用しています。片側は屋外に、片側は屋内に設置し、機器間にはガラスを1枚挟んでいます。

・Raspberry Pi 3 x1
LED Backhaulの機器状態 (信号雑音比、物理層通信速度) を1分間隔で記録するために、高価なWindows PCではなく、安価で安定した長期稼動を期待できるRaspberry Piを使用しています。

・IPカメラ x1
フィールドテストは上に挙げた機材だけで実施できますが、せっかく屋外に繋がる回線を用意したので昨今の台風や大雨といった災害に備え、本社敷地内を遠隔監視する災害対策カメラとして接続します。

機材の設置

・建物屋上
市販の汎用2段エアコン室外機用架台がサイズ・耐荷重的に適していたので、上段にLED BackhaulとIPカメラを、下段に防水ボックスを設置して内部に電源接続部やNW機器を収容します。 LED Backhaulの方向調整には、オプションとしても用意してある監視カメラ用の汎用雲台を用い、雲台をエアコン室外機用架台に結合するため、ボルトの穴位置を合わせるための3mm厚のアルミ板を自作して取り付けています。 店頭対策として架台の脚部にはコンクリート台座を締結し、さらに屋上の柵と架台をロープで結んでいます。
過去に設置を行ってきた実績として、雲台を取り付ける板はたわみや環境による変形量が少ないものを用いることが、通信環境の安定化に繋がります。 木板は降雨や乾燥による変形が避けられず、薄い鉄板はたわみや荷重による経年変化があるので、設置方法を検討する際は避けていただけると助かります。

図1
図1:設置 建物屋上

・オフィス内 市販のメタルラック/メタルシェルフを利用してLED Backhaulを設置しています。 建物屋上の場合と同様に方向調整には汎用雲台を用い、ボルトの穴位置を合わせるために3Dプリンターで製造したマウントプレートを使用してメタルラック最上段に固定しています。
メタルラックを活用した設置方法は簡単に展開でき且つ強度にも優れることから、各種実験環境構築や展示会出展の際の強い味方となっています。 市販のメタルラック活用の際の注意点として、棒材の径を細いものに変更したり本数を減らして棚板全体の重量を減らした軽量棚板の場合、LED Backhaulの重量でたわんでしまうことがあります。 運搬時の負担は増えますが、昔ながらの重量級の棚板を用いた方が、より安定した通信環境構築に繋がります。

図2
図2:設置 オフィス内

このように、設置環境にもよりますが市場で一般的に販売されている汎用金具を組み合わせ、一部専用品を自作する程度の工作で簡単に建屋間での通信環境を構築できます。

NW構成

各種機材を組み合わせて構築したのが以下のNW構成です。

図3
図3:NW構成

オフィス内のLED Backhaulは社内NWに接続しているため、その先に繋がる機器についても社内NW経由で接続することが可能です。 そのため、IPカメラの映像・画像を本社内や各拠点から、またはリモートアクセスで自宅から社内NWに接続した状態で確認することができ、大雨や台風といった災害時に本社の状況を社外から確認することが可能です。
本環境の測定データに関する記事は、台風による影響を測定した後に別途記事にする予定です。過去の実績としてゲリラ豪雨や台風の影響を把握しているのですが、この環境を構築してから台風の影響を実測値として得られていない状態です。自然環境はコントロール不可のため、記事化には時間を要する可能性もありますが、少々お待ち頂けますと幸いです。